ポヨ子さんの手記、ウナギ捕り
あらゆる物を利用し、手際よく食事を準備する女の子たち。
バナナの葉の上には、お米のご飯、ヌードル(つまりはインスタントラーメンのスープのないもの)、キャベツ、カサヴァプディングが盛り付けられていた。バナナの葉の緑が、プディングの赤い色を引き立たせている。リツコさんと私には、プラスチックのお弁当箱が渡された。これは、女の子達が、わたしたちふたりを「仲間はずれ」にしようと思っているわけではない。わたしたちふたりに、普段の習慣通り、できるだけ快く食べてもらおうという、彼らの心遣いなのだ。バナナの葉で食べられないのは少し残念な気がする。わたしたちの文化、少なくとも英国の考え方なら、お客様にできるだけ自分たちと同じように食べてもらうのが「礼儀」と考えるだろう。でも、「相手を慮る」という考え方は文化によって違うのだ。それが面白い。
このピクニックは「ウナギ事件」を抜きには語ることができない。ひとり魚捕りの上手い子がいて、彼女は、既に何匹かザリガニを捕まえていた。その子が、川の泥の中に、巨大なウナギを見つけたのだ。バレリーナとキリーというふたりの女の子が、それを捕まえようと、泥の中のむやみに手を突っ込んで、「返り討ち」に遭ってしまった。彼らは指を噛まれて、血を流している。
「ウナギがそんなに鋭い歯を持っていたなんて。」
私は、感心してしまった。でも、そんなこと誰も知らないわよね。
女の子たちが、ウナギを捕まえようとキャーキャー言っていると、近くにいた男の子たちがそれを聞きつけて「救援」にやって来た。わたしたちは男の子の指示で、ウナギのいる場所の周りに輪になった。そして、叫んだり、足踏みをしたり、音を立てながら、次第にその輪を狭めていく。とうとう、耐え切れずに泥から顔を出したウナギを、男の子のひとりが素早く手でつかんだ。ウナギは一メートル近くあった。
私は、そのウナギ、誰かが持って帰って、晩御飯のおかずにするのだろうと思っていた。だから、女の子たちがあっと言う間にその場でウナギをぶつ切りにし、次の瞬間にはウナギが火の上にかかった鍋に放り込まれたのを見たときには、正直驚いた。
「これが典型的ソロモン人の考え方なのだ。」
わたしは思った。彼らは楽しみを後に「とっておく」ようなことをしない。それが訪れたとき、その場で楽しんでしまうのだ。わたしは彼らと暮らしていて、そのことに気がついていた。
村に戻ると、もう夕暮れが近づいていた。わたしはもう一度、最後にナモハイの村を歩いてみた。
「これが、ここで過ごす最後の夜だ。」
何だか変な気分だった。川で身体を洗ったときも、これが最後なんだと思った。何をするにもそう思ってしまう。その日の、だんだんと赤みを増して行く夕日と、「わたしの旅も終わるんだ」と考えながらそれを眺めていたわたしのセンチメンタルな気分を、生涯忘れることはないだろう。
怪我人の出る「大捕り物」の末捕まえられた大きなウナギ。