ポヨ子さんの手記、ピクニック

 

カサヴァプディングの材料をバナナの葉に包み「オーブン」に入れた後、熱い石を乗せる。

 

 翌朝、わたしとリツコさんは、カマドの上に乗っていた石を下ろし、すっかりしなびたバナナの葉を注意深くめくってみた。その下に、栗色をしたプディングが厚さ三センチくらいの層になっていた。少し手に取ってみると、プディングはまだ少し温かかった。口に入れる。わたしは思わず叫んだ。

「デリシャス!」

甘すぎないのがいい。目の詰まったスポンジケーキのような舌触りだった。

プディングはその後、カットされて、村の他の家族に分配された。それでもまだ余ったので、後日に予定されているピクニックのお弁当として、残して置くことになった。

 わたしが村を去る前日、「お別れ記念行事」として、リツコさんと学校の女子生徒により、ピクニックが計画された。わたしたちは十人ほどで、インスタントラーメン、キャベツ、カサヴァプディング、鍋、十人分のフォークとナイフを持って、昼前にナモハイの部落を出発した。半時間ほど歩いて、「ピクニック・スポット」に着いた。そこは、川が堰きとめられてプールのようになった場所。見ると、その川下は急流になっている。

 その「スポット」に着くと直ぐに、女の子たちは食事の準備を始めた。まず竈(かまど)作り。石を積み上げふたつの山を作り、その間に太い木を渡し、その木に水を入れた鍋を引っ掛ける。辺りから焚き木が集められ、火が点けられた。湯が沸き始めると、洗ったキャベツを鍋の中に入れる。

次は「皿」作りだ。新たに石が集められ、それが円形に並べられ、その中でも火が焚かれる。集めてきたバナナの葉を適当な大きさに切り、その火の上で焙る。葉についている雑菌や虫を殺すためだという。そのバナナの葉を丸く並べた石の上に置けばこれで「食卓」と「お皿」の出来上がり。

そんな準備が、とても素早く、無駄なく、テキパキと進められていく。わたしはそれを、目を丸くして見ている他はない。わたしは少女たちが自然にある物をいかに上手に利用するのか感嘆した。それと同時に、自分がいかにそれらを利用することに対して無知であるかに愕然とした。「一八一五年から一八四〇年におけるフランス史」の詳細を知っていても、実際屋外で火を熾し、料理をするのには何の役にも立たないもの。

大体の準備ができたところで、あとの準備を二、三人の少女に任せ、わたしも含めた残りの女の子は、川岸から、水の中に飛び込んだ。その場所が、泳ぐのにあまりにも「お誂え向き」に出来ているのに感心する。川岸から大きな木々が覆うように水面に張り出し、ツタやその他の植物が、その木々から水面に向かって垂れ下がっている。水は深く、木々の色を映し、緑と青の混じった濃い色をしている。身体が冷えると、川岸に戻り、温かい石の上に座るか、太陽に寝そべればよいのだ。

「ご飯の準備ができたわよ。」

の声で岸に上がると、そこには「ごちそう」がわたしたちを待っていた。

 

翌朝、カサヴァプディングを試食する、マッケンジー家の子供たち。

 

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