ポヨ子さんの手記、パンピリア
静かで落ち着いたパンピリアの部落。
わたしはあっと言う間に村での生活慣れた。数日後、リツコさんに、
「モニカ、今度の週末、一緒に一度町に戻らない?」
と尋ねられたときには、正直驚いた。わたしは、滞在予定期間の三週間、ずっと村にいるものだと思っていたし、そのつもりだったからだ。しかし、JICAのボランティアのうち、ホニアラに近い場所で働いている人たちは、週末に首都に戻ってくる人が多いそうだ。でも、彼らは二年間働いているのだから、定期的に息抜きも必要だろう。でもわたしは三週間しかここにいない。わたしは、何となく後ろめたい気持ちになりながらも、リツコさんに「オーケー」と答えた。
町に戻る前日の金曜日、リツコさんの住むパンピリアの部落で、カトリック教会のコンベンション(集会)があった。そのコンベンションは、女性を対象にしたもので、リツコさんによると、女性を「啓蒙」するためのイベントということだった。週末にかけて、歌ったり、踊ったり、祈ったり、講演があったりするらしい。他の村からも参加者があり、リツコさんはその日は学校での仕事を早めに終わり、他の村からの参加者のために食事や宿舎の世話を手伝うために帰って行った。
わたしも学校が終わった後、リツコさんの部落に行ってみた。パンピリアはわたしの住む部落よりはずっと大きく、とても美しい場所だ。静かで、清潔で、土地はクローバーに覆われていて、その上で子供たちが無邪気に遊びまわっている。「地上の楽園」と言う言葉が浮かんできそうな場所。
金曜日の午後、コンベンションのセレモニーが始まった。女の人が一列になり、教会へ向かう歌いながら道を下ってくる。身体の動きと歌が実にぴったりと合っている。歌声は見事なハーモニーを作り出している。明るい午後の日差しの中で、純白の服を着た人たちの澄んだ歌声と美しい風景がぴったりと溶け合っていた。
教会に入る前に、女の人たちの首にはきれいな花輪が掛けられた。教会の中でミサが始まる。次の一時間は、歌、お祈り、お説教が繰り返される。でも、どちらかと言うと歌が多い。ソロモン諸島の人たちは驚くほど歌が上手い。歌が始まると、皆自分の声に合ったパートを選んで、自然にハーモニーが作られる。学校の音楽の時間、わたしはハーモニーを作るのに苦労しているが、それがここではいとも簡単に、とても自然に作られていく。
ミサが終わると、夕食の時間になった。夕食は木の枝と葉を使って作られた屋根の下に準備されていた。パンピリアの村人たちが、手分けして作ったご馳走。わたしたちは一列になって順番にそれを貰っていく。ご飯、イモ、豚肉、鶏肉、それにスイカ、ビスケット、その他数えられないくらいの食べ物が並んでいる。食事を受け取った後、参加者たちは、クローバーの絨毯の上や、家の軒下に三々五々固まって食べ始める。これだけ沢山の人が集まっているのを見るのは、村に来てから初めてだった。わたしは「お祭り」の、ちょっと「よそいき」でワクワクする、こんな雰囲気が大好きだ。
村の中には、熱帯の花が咲き乱れている。