受け入れ準備
ホストファミリーのマッケンジー一家。娘さんが3人、息子さんが3人。
話が決まってから、G君によるスミレの受け入れ準備、僕のスミレ送り込みの準備が始まった。ロンドンとガダルカナル島の間にEメールが飛び交う。
G君には地元の学校と話をつける他、送り迎えの段取り、ホームステイ先の手配などをお願いしなくてはならない。一番気になったのが、JICAの職員であるG君の時間を、うちの娘のボランティアの世話などという、個人的なことに使うことが許されるのかという点。G君に確認したところ、
「W所長(G君のボス)はじめ事務所スタッフには了承を得てます。みんなソロモンが好きで知ってもらいたがってるし、問題なし。」
との返事が来た。皆さん心の広い方ばかりで、本当に助かる。
先ず、時期の決定。ソロモンの学校に「夏休み」はない。どうしてって?赤道のほぼ真下で、一年中夏だから。六月中旬から四週間学校が休みになり、七月中旬には学校が始まるとのこと。しかし、先生が来ないとか、色々な理由で、学校のスタートが時として一、二週間延びることもあるらしい。それを考慮に入れても、七月末から一ヶ月間ならまず大丈夫ということになった。スミレが書いた英語の履歴書とエッセーをG君に送る。
次は場所。ソロモン諸島は数多くの島から構成されているが、離島で一週間に一度しか飛行機が飛ばないとか、カヌーで半日かかるような場所では、何かあったときにG君もスミレも困ってしまう。やはり、首都のあるガダルカナル島でということになる。また、スミレが全く独りというのも不安だし、誰か協力隊の隊員の方がおられる場所の方がうんと心強い。しかし、その地の隊員さんに、「そんなワケの分からないワガママ娘の世話なんてまっぴらごめんだわ」と断られる可能性もある。
最終的に場所が決まったのは五月のことだった。ベティヴァツという村の学校だ。首都のホニアラから車で一時間ほど走り、その後ジャングルの中を一時間余り歩き、途中川を三つほど渡った場所。僕も、ガダルカナル滞在中に一度訪れたことのある場所だった。ジャングルのなかにポッカリと開けた場所にある村と学校で、数時間しか滞在しなかったが、熱帯の花々が美しかったという記憶がある。
ベティヴァツには小学校(プライマリー・スクール)と中学校(セカンダリー・スクール)があり、日本人ボランティアのリツコさんという女性が四月から村に入り教えておられる。リツコさんは、スミレの世話を快く引き受けて下さった由。スミレはその村の学校に通うカレンとう名の女の子の家にホームステイすることになった。
六月になり、G君から必要な準備品リストが届く。蚊取り線香、防虫スプレー、虫刺され薬、ムギワラ帽子、懐中電灯・・・熱帯だけに虫と日光から身を守る物が多い。トイレや水浴びのときに身体に巻く大きな布なんてものもある。リツコさんからもメールが届き、そこにも必要なものが書かれていた。本人のスミレは試験の最中で、それどころではないという感じ。妻が代わって、準備を進めている。
ジャングルの中に忽然と現れるベティヴァツ小中学校。