音楽デイ
音楽デイとは何の関係もない、天神さんでのワンショット。
大きな発表会だ。ピアノとエレクトーン、それにドラムまであり、演奏者は全部で五十人を越える。トモコやユカなどエレクトーンを弾く人は、演奏前、メモリースティックを楽器に差し込んでいる。エレクトーンにはスイッチがいっぱいある。音の変更や、パーカッションの部分など。それらの操作を予め登録し、スティックに記憶させてあるらしい。
トモコの弾く五人ほど前から入場したが、八十歳の男性ピアノ奏者が登場したのには驚いた。彼が結構上手いのだ。僕自身、八十歳になってもやりたいと思う。最近発表会を経験しているので、演奏の前の緊張感も良く分かる。トモコとユカがいよいよ登場。S君はヴィデオカメラを、僕は自分のデジタルカメラを構える。前の人の時、何枚か試し撮りをしてある。暗い中にスポットライトが当たっているのと、かなりの望遠になるので、撮影は難しかった。
トモコとユカのエレクトーンの演奏は素晴らしかった。トモコは学校の先生らしく落ち着いていて、ユカの演奏はダイナミック。本人たちの心理は分からないが。本番であれだけ落ち着くのと、ダイナミックに弾くのはかなり難しいと思う。曲も良かった。
突然トランペットの音を出したりするのだが、どうして音を変えるのか分からない。後で聞くと、実はメモリースティックの中に、そのスイッチも含まれているらしい。エレクトーンというのは独りでオーケストラを率いているようなものだと思った。演奏が終った後、ふたりとも子供たちから花束を貰っていた。学校の生徒さんなのだろうか。
終わってから会館の喫茶店でS君と話す。三年前に奥さんに先立たれた彼は、少し寂しそう。一度海外に出たいと言っていた。五時になりS君と別れる。彼も自転車で来ていた。
七時少し前に串カツ「さいもん」に着く。こんにちはと言って入っていくと、まだイズミもサクラもまだ着ていなかった。
「あら、今日は現地集合なの。」
と奥さんに聞かれる。姉妹が同時に登場。サクラは最初、翌日にこの店を予約してくれていた。明日なら阪神タイガース元コーチの伊藤氏が来る予定だったらしい。阪神タイガースファンの僕に対する有り難い配慮だが、明日は父のお相手で都合が悪い。残念。
イズミに娘さんのツキのテニスの結果を聞く。四回戦まで進み、次の府大会に残れたという。イズミは夕方まで、炎天下でテニスを見ていたという。ご苦労さん。飲んでいるうちに、イズミの末娘のユメ、真ん中のツキ、イズミのご主人まで登場。京都を離れている一番上の息子さんを除いて、彼女の家族が勢揃い。何となくシンミリ飲むのを予想していたが、会話が縦横無尽に飛び交う賑やかな飲み会になった。
九時半にサクラの家に移動。リビングのピアノでショパンのノクターンを弾く。その後はサクラのヴァイオリン。伴奏はヴェテランのイズミに任せ、僕はページめくり役。イズミは、かなり難しい曲も、初見で何とか形にしてしまう。恐れ入る。「千の風になって」ではヴァイオリンとピアノの他に、ご主人の歌まで入った。ちょっとした家族コンサートだ。今日は本当に音楽デイ。別れ際、イズミとハグをする。娘さんとご主人の前だけど、まあいいか。
何故かファイティングポーズで決める、ユメ、サクラ、イズミ。