エレクトーン発表会

 

鴨川で見つけたシラサギ。

 

G君のお父さんが帰って来られ、玄関先で三人で話をしていた。ふと外を見ると、自転車に乗った女性がこちらを見ている。幼馴染のトモコだ! 今日、彼女自身と娘さんのエレクトーン発表会があり、その後にある謝恩会か何かのケーキを、G君の家の隣の洋菓子屋に買いに来たとのこと。小学校の先生をしているトモコは、時々僕の父を見舞ってくれていた。しかし、偶然といえば、すごい偶然の出会いである。

「発表会、聴きにおいでよ。」

と彼女は言う。僕はオーケイした。府立文化芸術会館で行われる、エレクトーンとピアノの発表会は(僕の発表会は先生のヴァレンティンの自宅の居間だった、ずいぶん違うなあ)十二時半開始。でも、彼女と娘さんのユカが弾くのは三時ごろとのこと。三時までには行くからねと、彼女に約束をする。

G君の家を辞して、時計を見ると十一時。約束の三時までには、まだまだ時間がある。ちょうど天気の良い暖かい日。僕は、府立植物園で、昼寝をしながら時間を潰すことにし、北大路通りを東に向かって自転車を漕ぎだした。鴨川の橋を渡るとき、下にシラサギがいるのが見えた。写真を撮る。府立植物園に入る。シャガの花が美しい。日陰のベンチを探し、本を読みながらウトウトする。幼稚園で教育実習中のトモコの娘のユカも、親子遠足の付き添いで植物園に着てきたらしい。しかし、それに気が付くには、植物園は広すぎた。

二時半になったので植物園を出て、鴨川の畔を自転車で南に向かう。天気の良い土曜日の午後。もう水に入っている子供たちがいる。サキソフォーンの練習をしている若者がいる。サイクリングをしている家族連れ。昼寝をしている人。色々な人達が色々なことをして過ごしていた。

三時前に府立文化芸術会館に到着。ロビーでトモコ、ユカ、高校の同級生のS君に会う。三人の最初の質問は、

「ケベ(僕のあだ名)、熱ない?咳出ない?」

僕が海外帰りなので、例の「豚インフル」を心配しているらしい。

「そういえば寒気が。咳も、ゴホゴホ。」

もちろん冗談。

S君は循環器科のお医者さん。待っている間、僕の心臓に関する相談に乗ってもらう。D君と言い、医者の友達がいると何かと便利だ。ユカは一生懸命何かを書いている。その時、彼女が午前中に親子遠足で府立植物園にいたことを知った。迷子になった子がいたという。

「それで、始末書でも書いての。」

と聞くと、彼女は笑い出した。単なる日誌だという。

時間が来て、S君はビデオ撮影係、カメラを持っている僕は写真係としてホールに入る。そのあたり、小学校の先生をやっているトモコの指示は、極めてテキパキとしていた。

演奏終了後、花束を受け取るトモコ。良い演奏だった。

 

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