銭湯の新しい利用法
久々に再会した元ランナー達。ハモが美味しかった。
六時半、K君が現れ、駅前にある、一見高級レストラン風日本料理店でビールを飲み始める。家族を大阪に残し東京に単身赴任している彼だが、ゴールデンウィーク前後は、大阪の事務所に出勤しているとのこと。
彼とは、昔から「ウマ」が合う。会話の中で、ボケとツッコミの役割分担が絶妙なのだ。何年経っても、このタイミングは変わらない。こんな冗談を言ったら、こう受けてくるだろうと予想して、突っ込むと、その通り受けてくれる。貴重な存在だ。最後に会ったのはロンドン。出張で英国に来た彼と、ウエストエンドのインド料理屋へ行ったのを覚えている。
少しキザに言うと、「三十年前、僕らは走っていた」。彼とは大学の陸上部で一緒、駅伝チームで練習していた。最近東京に単身赴任になった彼は、会社で「走ろう会」を作ったとのこと。皇居の周囲が練習場所。そして、何と、銭湯を更衣室代わりに使っているという。つまり、近くの銭湯で着替えてから皇居の周囲を走り、走り終わったら銭湯で汗を流す。スッキリとした身体で帰るか、飲みに行くのだ。皇居の近くの銭湯の多くが、ランナーに利用されているそうだ。夕方など、ロッカーが一杯で、脱衣場にスポーツバッグがずらりと並んでいるらしい。そんな銭湯の使い方あるなんて知らなかったなあ。
K君に金沢土産の芝寿司を渡す。しばらくして、京都に仕事に来ていた同じ元陸上部員のB君も参加。彼は「槍投げ」を専門としながら、長距離も速く、駅伝チームに怪我人が出たときなど、選手として応援に来てくれた。平和な時代だった。
K君に明日何をするのかと聞くと、大学の先生と会うために金沢に行くという。
「あのね、こっちは君に会うために、わざわざさっき金沢から帰って来たんやで。それやったら、明日金沢で会うてもよかったやん。」
金沢土産の芝寿司は、結局B君に渡ることになった。K君は明日また買えるものね。
三人で九時半まで騒いだ。K君、B君とも大阪まで帰らなくてはならない。京都駅の改札口でふたりと別れる。
翌日イズミと会う予定になっていたので、慌てて彼女に電話を入れる。明日はテニスをやっている娘さんの「高校生活最後の」試合が入り、日中は応援に行くとのこと。夕方サクラと一緒に、サクラの家の近くの串カツ屋で会うということになる。
翌朝、まず父の家へ行き、デイサービスに行く父を見送る。イズミとの予定がキャンセルになったので、その後、夕方までやることがない。ポッカリと予定が空いた。それで、ガダルカナル島で世話になった幼馴染のG君の実家を訪ね、お母さんと話をする。
「九月に帰って来られるんですってね。楽しみですね。」
と切り出すと、
「そうどすか、そんなん聞いてしまへん。」
とのこと。おいおいG君、帰国予定くらい親に知らせろよ。でも、どこの家庭でも、息子は親には連絡が疎遠なもの。僕もそうだし、うちの息子のワタルもそうだ。
ドイツ人のデートレフも絶賛した、鴨川沿いのジョギングコース。