ウォーターポロ
ウォーターポロ、日本で言う「水球」は、曲がりなりにもオリンピック種目である。しかし、私はテレビ中継を見たことがない。オリンピック開催中、テレビ中継のないのは、水球と近代五種くらいではないだろうか。日本ではマイナーなフェンシングや射撃でも、ちょっとくらいテレビに映ると思う。
水球は、英国でも格段にマイナーなスポーツで、ミドルセックス県とロンドン市内を合わせて、これをやっている学校は三校しかない。息子の学校がそのうちの一校。今回息子が県代表に選ばれて、南イングランド県対抗選手権に出場することになった。ロンドン・ミドルセックス代表と言っても、前述の通り、実はたった三校の選手の寄せ集めなのであるが。
嵐の吹き荒れた日曜日、息子を連れて車で水球選手権の会場へでかけた。私自身、水球の試合を見るのは初めてである。高速道路で渋滞に会い、会場の学校には一時間近く遅刻。息子が着いたときは既に第一試合が始まっていた。しかし、その日、息子のチームは計四試合組まれており、私は夕方まで、ゆっくりと試合を観戦できた。
ハンドボールを水の中でやるという感じ。コート(というかプール)の広さ、ボールの大きさ、ゴールの大きさ等、陸上でやるスポーツで一番近いのがハンドボールであろう。パスとドリブルでボールを敵陣に持ち込み、シュートを投げ込む。一チーム七人で、その日は七分ハーフで試合が行われていた。
ドリブルは、ボールを顔の前に置いて、抜き手を切って泳ぐのであるが、如何せん、水の中であるから、そう機敏には動けない。パスがより重要な手段であることが想像される。また、機敏に動けないから、パスを受けるとき、いかに良い位置にいるかのポジショニングが、重要な役割を占めるように思われた。
ボールは片手で扱わなければいけない。プールの底を蹴ってはいけない。その他のルールもだんだん分かってくる。ルールが分かってくると、見ていて面白くなってくる。
試合開始が面白い。選手たちはゴールの後ろにいる。審判が笛を吹いて、ポイッとボールを投げ込む。そこへ向かって選手が一斉に泳ぎだす。投げられた餌に集まるコイである。
息子はゴールキーパー。その日のプールは、片方が深くてもう片方が浅い。浅い方のゴールはプールの底に立っているが、深い方はゴールが浮いている。浅い方ではキーパーは立っていられるが、深い方ではずっと立ち泳ぎをしていなければならない。そう考えると、結構ハードである。
驚いたのは、女の子が混ざっているチームがいくつかあること。体の接触の激しいゲームであるのに、女の子が男の子に混ざって、ボールを奪い合っている。胸とかお尻とか思わず触っちゃったらどうするんだろう。そんなことを考えていたら、女の子の放ったシュートが、息子の手をかすめてゴールに入った。息子は決まり悪そうな顔をして、舌を出した。